映画に感謝を捧ぐ! 「ハンバーガー・ヒル」

映画弁護人GHM(西村哲也)です。

 今回はジョン・アーヴィン監督の「ハンバーガー・ヒル」に

 感謝を捧げようと思います。

 

 1965年5月の「エイショウ・バレー937高地」で繰り広げられる

 戦いの日々を描いた本作は

 娯楽性を犠牲にしてまでも「前線で戦う兵士の感覚」を

 追い求めた戦争映画であります。

 状況説明を極限まで抑制し「今そこにあること」のみを

 冷徹に描くことによって

 「戦争の目的&戦闘の意味」を知らぬまま死線に立たされる

 人々の思いをえぐり出したストーリー

 時間と共に個性を喪失し「戦場の駒」と化していくキャラクター

 活劇的盛り上げに背を向け、破壊と殺戮を生々しく描写した戦闘シーンが

 一体となることによって生じる「戦争映画的化学反応」は

 

 私に、台詞ではなく「作品世界」そのものがメッセージを発する光景と

 戦争における「人間」の軽さを目の当たりにさせられる機会をもたらしました。

 (戦時だけでなく「平時」のシーンにも緊張感を漂わせている点や

 命がけの戦いを事務的に処理するかのような気配を放つ幕切れが

 作品のメッセージ性を高めている点も見逃せません。)

 まさに、戦意高揚映画や反戦映画の枠を超え

 「軍事的怪奇映画」の領域に達しようとする作品であると言えるでしょう。

 CGなき時代の「体感的アクション」

 「アメリカ軍目線」に徹しつつ

 鑑賞者を突き放すかのように進んでいく物語

 戦争の残虐性&麻薬性を写し出す本作と

 生きて映画を見ることの出来る幸せに深い感謝を!!!。