映画に感謝を捧ぐ! 「エレベーター(2011年版)」

映画弁護人GHM(西村哲也)です。

 今回はスティーグ・スヴェンセン監督の「エレベーター(2011年版)」に

 感謝を捧げようと思います。

 

 エレベーターに閉じこめられた男女9人の運命を描いた本作は

 映画的手法を極限まで抑制したサスペンス映画であります。

 「動き」を抑制し、過激な場面を徹底的にぼかし続ける映像

 娯楽性に背を向けた陰性のスリル

 

 巻き込まれサスペンスの定番を総動員しながら

 行動よりも会話を重んじた「ラジオドラマ」的なストーリーが一体となる光景は

 私に「映画」に不向きな状況を映画化するスタッフ・キャスト陣の奮闘ぶりと

 派手な残酷描写に依存することなく「ホラー的残酷さ」を表現する手法を

 目の当たりにする機会をもたらしました。

 (定番的なハッピー・エンドに「喜劇要素」が乱入してくる幕切れが

 どんでん返しとは異なる驚きをもたらしている点も見逃せません。)

 まさに「反映画系状況限定サスペンス」と呼びたくなる怪作であると言えるでしょう。

 エレベーターという小さな世界の中で

 王道的人間模様・アメリカ的ポジティブ精神・抽象化の技が炸裂する本作と

 生きて映画を見ることの出来る幸せに深い感謝を!!!。