映画に感謝を捧ぐ! 「チート」

 映画感謝人GHM(西村哲也)です。

 今回はセシル・B・デミル監督の「チート」に

 感謝を捧げようと思います。

 華やかな日々を送る投資家夫人に襲いかかる

 悲劇を描いた本作は

 歴史大作の雄C・B・デミル監督の原点と

 歴史の空気を感じさせるサイレント悲劇であります。

 サスペンス映画&愛憎劇要素と

 東洋人&女性に対する「屈折した思い」が融合したストーリー

 豪華絢爛たる小道具&衣装

 象牙王に扮したS・早川氏の美しき怪演が一体となる光景は

 私に、アメリカ映画界初期の「差別&偏見に対する大らかさ」と

 女性向け映画の形態を取りながら「女性の愚かさを過度に強調する」という

 皮肉な構図を目の当たりにする機会をもたらしました。

 (後年のホラー映画に通じる残酷描写と

 豪快極まるハッピー・エンドが

 映画が元来「見世物」であることを象徴している点も見逃せません。)

 まさに、1910年代のアメリカを覆う「人種意識」と

 「女性不信」を写し出したサイレント映画であると言えるでしょう。

 映画における派手な装飾・美男美女・インパクトのある映像

 個性のある敵役の重要性を示すと同時に

 後年の愛憎劇&サスペンス映画に対する「道しるべ」となった作品でありながらも

 複雑な思いを禁じ得ない本作と

 生きて映画を見ることの出来る幸せに深い感謝を!!!。