映画に感謝を捧ぐ! 「レクイエム・フォー・ドリーム」

 映画感謝人GHM(西村哲也)です。

 今回はダーレン・アロノフスキー監督の「レクイエム・フォー・ドリーム」に

 感謝を捧げようと思います。

 

 ヒューバート・セルビー・ジュニアの小説「夢へのレクイエム」を

 彼自身の脚色によって映画化した本作は

 ドラッグ映画の形態を取りながら

 人間の心に潜む闇をえぐり出す

 脅威のトラウマ・ムービーであります。

 「薬物依存」によって破滅していく人々の姿を

 冷徹極まる目線で描いたストーリー

 サスペンス&ホラー的表現法の限りを尽くした映像

 俳優&女優陣の五体を駆使した怪演

 不快感&不安感を軽快にかき立てる音楽が一体となる光景は

 私に、架空の世界の住人を「自分の一部」として見つめる感覚と 

 モンスターや超常現象とは異なる「怪奇恐怖」の存在に

 触れる機会をもたらしました。

 (一片の救いもない状況を「幸福の極み」であるかのように映像化した幕切れが

 娯楽映画の「ハッピー・エンド」に対する痛烈な皮肉となっている点も見逃せません。)

 まさに「アメリカ流餓鬼道」の称号にふさわしい

 精神系モンスター映画であると言えるでしょう。

 アメリカ流上昇志向に対する警鐘と幸せの本質を

 技巧的且つ残酷な形で放った本作と

 生きて映画を見ることの出来る幸せに深い感謝を!!!。