映画に感謝を捧ぐ! 「アメリカン・ジゴロ」
映画弁護人GHM(西村哲也)です。
今回はポール・シュレイダー監督の「アメリカン・ジゴロ」に
感謝を捧げようと思います。
女性の「お相手」を生業とする男「ジュリアン・ケイ」の
運命を描いた本作は
大衆娯楽的な外見の中に「上流世界」への憎しみを宿す
「巻き込まれサスペンス」であります。
「自己の世界に閉じこもる」P・シュレイダーによる演出&脚本
「軽快な娯楽作」を得意とするJ・ブラッカイマーの制作
二枚目俳優R・ギアという特殊な組み合わせがもたらす映画的化学反応は
私に「80年代の風俗をのぞき見る」楽しさと
「80年代的映像&音楽が70年代的ストーリーに飲み込まれていく」感覚を
同時体験する機会をもたらしました。
(「アメリカ流ハッピー・エンド」に対する複雑な思いを感じさせる
幕切れとなっている点も見逃せません。)
まさに「70年代と80年代の価値観がせめぎ合う」
サスペンス映画であると言えるでしょう。
世界の暗部を写し出す70年代映画と
現実から離れ「甘美な暇つぶし」を求める80年代映画の
中間に立つ人々の思いを体現した本作と
生きて映画を見ることの出来る幸せに深い感謝を!!!。