映画に感謝を捧ぐ! 「悪霊のいけにえ」

 映画弁護人GHM(西村哲也)です。

 今回はジェレミー・ウォーレス監督の「悪霊のいけにえ」に

 感謝を捧げようと思います。

 

 謎の男「片靴のトミー」がもたらす惨劇を描いた本作は

 鑑賞者の精神を静かに揺るがす

 小規模ホラー映画界屈指の「悪魔的作品」であります。

 細切れ的且つ緩やかに進むストーリー

 技巧を廃し、見世物性だけを追い求めた残酷&性描写

 迫力&哀愁を抑制して生み出された殺人鬼・感情移入を徹底的に拒むキャラクター

 脱力感溢れる音楽が一体となる光景は

 私に「率直すぎる描写」によって

 スリル&エロティシズムが減退する現象を目撃する機会と

 作り手の無軌道さに振り回される感覚を

 味わう機会をもたらしました。

 (理不尽極まる陽気さに溢れたハッピー・エンドと

 エンドロール中の「メイキング映像」が

 作品の脱力感を加速させている点も見逃せません。)

 まさに「手抜き系ホラー」の頂点を目指す野心作であると言えるでしょう。

 H・G・ルイス&R・コーマン関連作から「品」をそぎ落としたかのような作風と

 日本側の苦悩がにじみ出たDVDジャケット&邦題が 

 ある種の感動を呼び起こす本作と

 生きて映画を見ることの出来る幸せに深い感謝を!!!。