映画に感謝を捧ぐ! 「ストレンジャー(1946年版)」

 映画弁護人GHM(西村哲也)です。

 今回はオーソン・ウェルズ監督・主演の「ストレンジャー(1946年版)」に

 感謝を捧げようと思います。

 

 アメリカへ逃亡した元ナチス幹部と

 彼を追う捜査官の運命を描いた本作は

 言葉よりも映像&音楽で語るサスペンス映画であります。

 

 台詞による状況説明を抑制し

 技巧的な映像・白黒特有の陰影・音楽を駆使することによって

 スリル&サスペンスを誘発すると同時に

 善良な人間が「悪」というウイルスに感染していく過程を描くという試みは 

 私に「映画」という媒体の持つ個性を最大限に生かしつつ

 鑑賞者の想像力を刺激する妙技を堪能する機会をもたらしました。

 (ホラーとブラック・ユーモアが混ざり合ったかのような「決着」が

 「暴力」に生きる人間の宿命を体現している点も見逃せません。)

 まさに「美術館系サスペンス映画」の雄と呼ぶにふさわしい作品であります。 

 

 「第三の男」・「疑惑の影」・「裏窓」を融合させたかのようなストーリーが

 戦争の中毒性と悪の伝染性をえぐり出す本作と

 生きて映画を見ることの出来る幸せに深い感謝を!!!。