映画に感謝を捧ぐ! 「年上の女[ひと](1999年版)」

 映画弁護人GHM(西村哲也)です。

 今回はアウレリオ・グリマルディ監督の「年上の女[ひと](1999年版)」に

 感謝を捧げようと思います。

 

 奔放な夜を過ごす女性と

 彼女に翻弄される青年の運命を描いた本作は

 男性的欲求と文学性が共存する不思議な官能映画であります。

 ポルノと青春映画の間を彷徨うかのように進行するストーリー&演出

 「心の声」を多用しつつ状況説明をほとんど行わない手法

 場違いなまでに品のある音楽が一体となる光景は

 私に「背徳的な題材を文学的に表現する」妙技の一形態と

 男女の精神的断絶の一端を目の当たりにする機会をもたらしました。

 (ハッピー・エンドとも悲劇とも異なる

 奇妙な味わいを感じさせる幕切れとなっている点も見逃せません。)

 まさに「心理迷宮系ポルノ」の一形態を示した作品であると言えるでしょう。

 イタリア映画的率直さと「鑑賞者に想像させる」作劇法が混ざり合うことによって

 「悪女」を体現したかのような作品となった本作と

 生きて映画を見ることの出来る幸せに深い感謝を!!!。