映画に感謝を捧ぐ! 「血みどろの入江」

 映画弁護人GHM(西村哲也)です。

 今回はマリオ・バーヴァ監督の「血みどろの入江」に

 感謝を捧げようと思います。

 

 「入江」の周辺で巻き起こる惨劇を描いた本作は

 論理性よりも男性本能と悪食精神を重んじた作風が

 背徳的快感を呼び起こすサスペンス・ホラーであります。

 推理小説と青春映画を融合させたかのような

 ストーリー・キャラクター・舞台と

 イタリア映画的過激さに溢れた残酷描写&エロティシズムが

 一体となることによって生じる映画的化学反応は

 私に「人間の怪物性」を大衆食堂的に表現する技法と

 「美しき自然の風景」が物語の残虐さを引き立てる現象を

 目の当たりにする機会をもたらしました。

 (理不尽極まる状況を

 「ファミリー映画風ハッピー・エンド」の如く表現した幕切れが

 奇妙な余韻を感じさせる点も見逃せません。)

 まさに「悪趣味芸術系サスペンス・ホラー」の雄と呼ぶにふさわしい

 怪作であると言えるでしょう。

 閉鎖系ミステリーの王道を悪趣味映画的に改造することによって

 後年のホラー映画に対する「道しるべ」となった本作と

 生きて映画を見ることの出来る幸せに深い感謝を!!!。