映画に感謝を捧ぐ! 「NITRO ニトロ」

 映画弁護人GHM(西村哲也)です。

 

 今回はアドリアン・ガルシア・ボグリアーノ監督の「NITRO ニトロ」に

 感謝を捧げようと思います。

 元恋人を捜す男と

 彼に協力する女友達の運命を描いた本作は

 悪趣味精神&趣味人精神が暴走する怪作であります。

 「ホラーの定番要素と悪趣味映像を見せるための口実」として

 存在を許されたストーリー

 極限までに記号的な主人公一行のキャラクター

 「老人に対する悪意」を感じさせる悪役コンビの造形

 異様にして珍妙な音楽が一体となる光景は

 私に「映像至上主義」と「趣味至上主義」が行き着く

 到達点の一つを目の当たりにする機会をもたらしました。

 (申し訳程度に「実話&回想シーン」を挿入することによって

 説得力を高めようとする貪欲さと

 「ホラー風味全開の決着→青春映画風幕切れ」という流れが生み出す

 独特の後味悪さも見逃せません。)

 

 まさに「サスペンス風ホラー」史上屈指の悪趣味度と趣味人度を誇る

 作品であると言えるでしょう。

 過去のホラー映画に対する敬意の一形態

 「悪趣味映像」を勧善懲悪的に見せる知略

 必要最小限度の部分のみを描くことによって滑らかに物語を進める

 サービス精神が共存する本作と

 生きて映画を見ることの出来る幸せに深い感謝を!!!。