映画に感謝を捧ぐ! 「地獄の黙示録」

映画弁護人GHM(西村哲也)です。

 今回はフランシス・フォード・コッポラ監督の「地獄の黙示録」に

 感謝を捧げようと思います。

 

 ジョセフ・コンラッドの小説「闇の奥」を

 もとにして作られた本作は

膨大なる物量・野心・イマジネーションの暴走によって

 ベトナム戦争映画の枠を打ち破り

 ダーク・ファンタジーの領域に達してしまった

 異形の戦争大作であります。

 テロリスト顔負けの物量&人員と

 ベトナムの自然力が融合することによって生じるエネルギーが

 スタッフ・キャスト陣の精神&肉体を暴走させ

 戦争映画の理&ベトナム戦争の現実を超越した「世界」を

 想像してしまうという現象は

 私の精神「狂気とも正気とも名状しがたい領域」へと誘うと同時に

 「部分的には理解可能であっても、全体を理解できない」事が

 ホラー映画を遥かにしのぐほどの怪奇恐怖であることを

 思い知らされる機会をもたらしました。

 (美しい映像と文学的難解さが異常なバランスで同居する

 「通常の鑑賞法では捉えられない」幕切れとなっているも見逃せません。)

 まさに「不条理文学系戦争大作」と呼ばざるを得ない

 怪物的作品であると言えるでしょう。 

 F・F・コッポラ監督の野望・狂気・技術が極限状態に達することによって

 彼が築いた「王国」&出演者の精神を揺るがした

 美しくも残忍な人造悪魔となってしまった本作と

 生きて映画を見ることの出来る幸せに深い感謝を!!!。