映画に感謝を捧ぐ! 「アリゾナ・ドリーム」
映画弁護人GHM(西村哲也)です。
今回はエミール・クストリッツァ監督の「アリゾナ・ドリーム」に
感謝を捧げようと思います。
叔父の結婚式に付き添うため帰郷した青年
「アクセル」の運命を描いた本作は
典型的アメリカ映画とは一味違う
幻想美と苦味が共存する家族劇であります。
背徳的な男女関係&陰鬱な人間模様に満ちたストーリーと
SF的特殊効果・ドタバタ喜劇要素・映画マニア的小ネタ
自然の限りを尽くしたファンタジー風味溢れる映像が一体となることによって生じる
「映画的化学反応」は
私に「陰鬱な状況を陽気に表現することによって陰鬱さを際だたせる」妙技と
「シリアスな物語とパロディ要素の平和的共存」の一形態を
目の当たりにする機会をもたらしました。
(主人公の「心の声」を多用した作りでありながら
説明台詞過多に陥っていない点や
「人生はハッピー・エンドと悲劇の二択ではない」ことを
ファンタジー的に体現した幕切れとなっている点も見逃せません。)
まさに「陰性ホームドラマ風童話」と呼びたくなる作品であると言えるでしょう。
人生における「美しい夢の時間」が崩壊していく過程を
硬軟のバランス感覚を保ちながら描ききった本作と
生きて映画を見ることの出来る幸せに深い感謝を!!!。