映画に感謝を捧ぐ! 「ウィズネイルと僕」
映画弁護人GHM(西村哲也)です。
今回はピーター・ロビンソン監督の「ウィズネイルと僕」に
感謝を捧げようと思います。
1969年のロンドンで同居生活を送る
俳優二人の運命を描いた本作は
陰性の神秘を感じさせる作品であります。
童話の挿絵を思わせるような「郊外」の風景
愛憎劇と青春映画を混ぜ合わせたかのような日々が
淡々と進行していくストーリー
吸血鬼映画を思わせるような風貌のR・E・グラントと
好青年風のP・マッギャンが織りなす「舞台的演技」
60年代風味漂う音楽が一体となる光景は
私に「舞台風味と映画風味の融合」の一形態を目の当たりにする機会と
同性愛と純文学の香りが静かに混ざり合う感覚をもたらしました。
(「一つの時代」が終わる瞬間を
舞台的台詞回しと絵画的映像で写し出した幕切れが
ある種の哀愁と映像美を放っている点も見逃せません。)
まさに「陰性文学風青春映画」と呼びたくなる作品であると言えるでしょう。
主人公の「心の声」を多用しながら
キャラクターの状況説明をほとんど行わずに物語を進行させる手法と
絵画的ムードと怪奇的不気味さを感じさせる映像が
鑑賞者の想像力をかき立てる本作と
生きて映画を見ることの出来る幸せに深い感謝を!!!。