映画に感謝を捧ぐ! 「ディープ・ウォーター」

 映画弁護人GHM(西村哲也)です。

 今回はラファエル・エドホルム監督の「ディープ・ウォーター」に

 感謝を捧げようと思います。

 

 謎の「修理人」に翻弄される男女2人の運命を描いた本作は

 「危険な情事」と「ダイ・ハード」が混ざり合ったかのような

 気配を感じさせるサスペンス映画であります。

 閉ざされた世界で不倫関係を謳歌する男女が

 予期せぬ侵入者によって「閉鎖系サスペンスの世界」へと

 誘われていく物語を

 娯楽的残酷描写よりも庶民的心理攻撃を重視した映像と

 怪しさ溢れる音楽によって表現するという試みは

 私に、娯楽的スリルは「背徳的快感」の中にあるという危険な真実と

 登場人物に対する同情&感情移入が困難な状況に耐えるという

 過酷な体験をもたらしました。

 (ハッピー・エンドの裏側に「悲劇の種子」を植え付ける幕切れが

 死に勝る後味の悪さを生み出している点も見逃せません。)

 まさに「粘着質サスペンス」史上屈指の珍作であると言えるでしょう。

 不倫映画と巻き込まれサスペンスの世界が静かにせめぎ合う本作と

 生きて映画を見ることの出来る幸せに深い感謝を!!!。