映画に感謝を捧ぐ! 「或る殺人」

 映画弁護人GHM(西村哲也)です。

 今回はオットー・プレミンジャー監督の「或る殺人」に

 感謝を捧げようと思います。

 

 ロバート・トレイヴァーの小説「錯乱」を

 もとにして作られた本作は

 現代社会にも通じるテーマを扇情的且つ上品に写し出した

 驚異の法廷劇であります。

 「レイプ&殺人」という陰鬱な組み合わせ・純粋善なきキャラクター

 断片的な情報のみを示すことによって鑑賞者に考えさせる手法

 場違いなまでに明るく上品な音楽が一体となる光景は

 私に「直接的描写を用いることなく

 スリル&エロティシズムをかき立てる」妙技と

 法廷が「知的遊戯&会話のアクション」の舞台と化していく現象を

 目の当たりにする機会をもたらしました。

 (ハッピー・エンドでありながらも不快な後味を残す幕切れが

 裁判に対するブラック・ユーモアとなっている点も見逃せません。)

 まさに「心理戦型サスペンス」の雄と呼ぶべき過激作であると言えるでしょう。

 知略・挑発者精神・先見性によって1950年代の映画倫理を揺るがし

 後年の犯罪映画に対する「道しるべ」の一つとなった本作と

  

 生きて映画を見ることの出来る幸せに深い感謝を!!!。