映画に感謝を捧ぐ! 「ガープの世界」
映画弁護人GHM(西村哲也)です。
今回はジョージ・ロイ・ヒル監督の「ガープの世界」に
感謝を捧げようと思います。
ジョン・アービングの同名小説をもとにして作られた本作は
J・R・ヒル監督の1969年作「明日に向かって撃て!」に通じる気配を感じさせる
実験的な女性映画であります。
男性的欲求を憎みながら「母」となった女性に
女手一つで育てられることによって
大人と子供の中間に位置する存在となってしまった青年と
彼を取り巻く人々の危うくも穏やかな日々を
社会派・ロマンス・人情喜劇の手法を使い分けながら描くという試みは
私に「過激なメッセージをユーモラスに放つ」妙技と
「自由奔放に生きる」人生の輝きとリスクを
目の当たりにする機会をもたらしました。
(主演男優R・ウィリアムズの放つ「浮世離れした空気」と
正義を旗印とする人間が陥りがちな「狂気」をクールに体現した幕切れが
作品のファンタジー性&メッセージ性を深めている点も見逃せません。)
まさに「陰性童話風ホームドラマ」の雄と呼ぶにふさわしい
作品であると言えるでしょう。
ハーレム的な状況・1960年の映画「サイコ」的な親子関係
1940年代の社会情勢が混ざり合うことによって生まれた世界を
過激さとユーモアのバランス感覚を保ちながら描くという
綱渡りを可能にした本作と
生きて映画を観ることの出来る幸せに深い感謝を!!!。