映画に感謝を捧ぐ! 「牛泥棒」

映画弁護人GHM(西村哲也)です。

 今回はウィリアム・A・ウェルマン監督の「牛泥棒」に

 感謝を捧げようと思います。

 

 ウォルター・ヴァン・ティルバーグ・クラーク の同名小説を

 もとにして作られた本作は

 西部劇の王道を逆手に取った過激作であります。

 王道系西部劇にありがちな状況を利用して

 勧善懲悪主義に潜む「悪魔」の存在を世に知らしめようという試みは

 私に、西部劇の持つ「可能性」の雄大さと

 自分の心に棲む「モンスター」と向き合う機会をもたらしました。

 

 (典型的な「西部劇エンディング」に希望と苦味をまぶした

 幕切れとなっている点も見逃せません。)

 まさに「西部劇型正義論」の称号にふさわしい作品であると言えるでしょう。

 娯楽作品の常道を巧みに利用して

 正義のヒーローと悪漢の類似性・西部開拓時代の暗黒面

 娯楽が「安全な場所で他者の不幸を見つめようとする」本能によって

 作られた存在であることをえぐり出す光景は

 圧倒される本作と

 生きて映画を見ることの出来る幸せに深い感謝を!!!。