映画に感謝を捧ぐ! 「フライトパニックS.O.S/超音速漂流」
映画弁護人GHM(西村哲也)です。
今回はT・J・スコット監督の「フライトパニックS.O.S/超音速漂流」に
感謝を捧げようと思います。
トーマス・ブロック&ネルソン・デミルの小説「超音速漂流」を
もとにして作られた本作は
航空パニック映画史上希に観るほどの
「スリムさ」を誇る作品であります。
「豪快さ&都合の良さ」を極めんとするかのような状況を
スピード感重視のストーリー展開
最小限度に抑制されたキャラクター&人間模様と
「物語途中での悪役変更」という離れ業を駆使することによって
細部を気にすることなく作品世界の危機に没頭できるようにさせようという
暇つぶし映画式サービス精神は
私に、映画が「純粋なる暇つぶし&気晴らし」だった時代の香りと
「スケール感を抑制」することによって過度の長尺化を防ぐ配慮の有り難みを
目の当たりにする機会をもたらしました。
(全ての問題を解決せずに幕を閉じることによって
昨今の「説明過多な幕切れ」にはない想像力の高揚を
与えている点も見逃せません。)
まさに「合理主義的災害映画」の静かなる強豪作であると言えるでしょう。
1970年のアメリカを賑わせた「エアポート」シリーズの流れを汲みつつ
スター至上主義に頼らない堅実な作風を貫く精神に心打たれる本作と
生きて映画を見ることの出来る幸せに深い感謝を!!!。