映画に感謝を捧ぐ! 「bruno」

映画弁護人GHM(西村哲也)です。  今回はラリー・チャールズ監督の「bruno」に  感謝を捧げようと思います。 オーストリアのファッションレポーター「ブルーノ」が  世界各地で巻き起こす珍騒動を描いた本作は  悪魔的な笑いと滑稽なスケール感によって  極限まで鑑賞者を選ぶ怪作喜劇であります。  国境を越えて各界の有名人を「ブラック・ユーモア」の  標的にする勇気&発想力  性的&社会的アブノーマルさを徹底追求する凶暴性  映像&音楽による感動誘発を「凶悪な笑い」に転じる技巧  主演男優S・バロン・コーエンの「二枚目的外見」が一体となって  社会の良識・大義名分・作法を挑発する光景は  私に「不快感」が時間と共に快感に転じる現象と 悪ガキ的大人が著名人を翻弄する楽しさを満喫する機会をもたらしました。  (場違いなまでに感動的な幕切れが  「感動作」に対する痛烈な風刺となってしまう現象を  もたらしている点も見逃せません。)  まさに「猛毒喜劇系社会派モンスター映画」と呼びたくなる  一作であると言えるでしょう。    ダーティー・ユーモアの嵐と怪しげな感動的表現によって  虚実の間を泳ぐ精神と敵を作る覚悟こそが  社会派の要であることを体現してしまった本作と  生きて映画を見ることの出来る幸せに深い感謝を!!!。