映画に感謝を捧ぐ! 「不意打ち」
映画弁護人GHM(西村哲也)です。
今回はウォルター・E・グローマン監督の「不意打ち」に
感謝を捧げようと思います。
自宅のエレベーターに閉じこめられた
女性の運命を描いた本作は
残虐な技巧&人間に対する厳しすぎる目線によって
映画史の闇に封じられた
空間限定型サスペンス映画であります。
「都会」と言う名の原野をさすらう獣たちとの「交流」によって
自分自身に宿る「モンスター」に向き合う主人公を
サスペンス技巧・ホームドラマ的日常描写・ホラー的残酷描写を
組み合わせながら描くという挑戦は
私に「近代社会の潜在的残虐性」・「愛情の暗黒面」
空間的制約&状況説明の抑制が生む「精神的スケール感&スリル」を
目の当たりにする機会をもたらしました。
(「ハリウッド流ハッピー・エンド」を凶暴且つ冷酷に皮肉ったかのような幕切れが
「死」に勝る恐怖&空しさを醸し出している点も見逃せません。)
まさに「都会派サスペンス」史上屈指の過激さと
技巧性を兼ね備えた作品であると言えるでしょう。
穏やかな日常風景によって「無関心の恐怖」を鮮明化する手法
人間の「暗部」のみで形成されたストーリー&キャラクター
映画倫理を挑発する描写の数々によって
「映画反抗期」の静かなる先駆けとなった本作と
生きて映画を見ることのできる幸せに深い感謝を!!!。