映画に感謝を捧ぐ! 「手討」
映画弁護人GHM(西村哲也)です。
今回は田中徳三監督の「手討」に
感謝を捧げようと思います。
岡本綺堂の戯曲「番町皿屋敷」を
もとにして作られた本作は
膨大な情報量が程よく配合された
時代劇映画であります。
戦争映画や極道映画に勝るとも劣らぬほどに
死と隣り合わせの日々を生きる人々の姿
徳川幕府の残酷な舞台裏・時代の過渡期
身分格差&男女の精神的相違点がもたらす悲劇が
均整を保ちながら厳かに進んでいく物語と
伝統文化に基づく様式美を生かしながら
暴力の残酷さに向き合う映像が一体となる光景は
私に「江戸時代の一端」をのぞき見る感覚と
「天下太平」を維持することの難しさを目の当たりにする機会をもたらしました。
(悲劇でありながらもある種の「救い」を感じさせる
美しい幕切れとなっている点も見逃せません。)
まさに「恋愛悲劇風歴史書」の一形態を示した
作品であると言えるでしょう。
舞台的魅力と映画的魅力・武士社会の建て前と本音
美しさと無情さが共存する本作と
生きて映画を見ることの出来る幸せに深い感謝を!!!。