映画に感謝を捧ぐ! 「プライマー」
映画弁護人GHM(西村哲也)です。
今回はシェーン・カルース監督・主演の「プライマー」に
感謝を捧げようと思います。
運命の悪戯が生んだ「タイムマシン」に翻弄される
男2人の運命を描いた本作は
「静かなる不気味さ」に支配された
タイムスリップSF映画であります。
「タイムスリップ」によって歪んでいく世界&精神を
SF的特殊効果&娯楽的盛り上げを抑制し
実録的ムード作り&不条理性の表現に重きを置いた演出と
様々な情報を与えつつ
状況説明を極限まで抑制する作劇法で
映画化するという実験的試みは
私に、ホラー映画とは異なる「精神的怪奇恐怖」
現実の時間以上の長尺さを体感する現象
作品内に仕掛けられた「情報」の意味を考え
先を予測していく鑑賞法の醍醐味を
目の当たりにする機会をもたらしました。
(穏やかな語り口で不安感をかき立てる幕切れが
恐怖の本質を写し出している点も見逃せません。)
まさに「文学迷宮系SFサスペンス」と呼びたくなる
一作であると言えるでしょう。
「与えられた物語を受け取る」受動的鑑賞ではなく
「物語の裏を読み取ろうとする」能動的鑑賞によって
味わいを増していく本作と
生きて映画を見ることのできる幸せに深い感謝を!!!。