映画に感謝を捧ぐ! 「アナザー・フェイス(2008年版)」

映画弁護人GHM(西村哲也)です。  今回はジャスティン・ケリガン監督の「アナザー・フェイス(2008年版)」に  感謝を捧げようと思います。  謎の「仕事」を持つ男と  一人息子の運命を描いた本作は  スパイ映画を渋く挑発する怪作であります。  スパイ活劇にありがちな舞台・キャラクターを利用して  陰性ホームドラマを描くという  大胆不敵な実験は  私に「娯楽映画」の王道を逆手に取る妙技と  渋みの効いたブラック・ユーモアの醍醐味を  目の当たりにする機会をもたらしました。  (実話系映画の雰囲気を感じさせる幕切れが  どんでん返しサスペンスとは異なる驚きを  与えている点も見逃せません。)  まさに「サスペンス系家族劇」の歴史に輝く  珍品であると言えるでしょう。  スケール感を抑制することによって  「物語の破綻」を抑制する繊細さと  スパイ・サスペンスムードを高めた後で「肩すかし」を食わせる大胆さが共存する本作と  生きて映画を見ることのできる幸せに深い感謝を!!!。