映画に感謝を捧ぐ! 「スリ(1960年版)」

映画弁護人GHM(西村哲也)です。  今回はロベール・ブレッソン監督の「スリ(1960年版)」に  感謝を捧げようと思います。 パリの片隅に生きる若きスリの運命を描いた本作は  見世物性と文学性が共存する異色の犯罪映画であります。  サスペンス、ホームドラマ、サクセス・ストーリーの手法を融合させて  泥棒映画を作るという試みは  私に「犯罪者の誕生過程&犯罪者の心理」を娯楽的に表現する手法と  映画の持つ「覗き見性&メッセージ性」を    同時体験する機会をもたらしました。  (勧善懲悪的でありながらも  説教集を感じさせないクールな幕切れが  作品の味わいを高めている点も見逃せません。)  まさに「文学系泥棒映画」の雄と呼ぶに  ふさわしい作品であると言えるでしょう。  実録のリアル・童話的ムード・文学性・背徳的スリルが  バランス良く配合された本作と  生きて映画を見ることのできる幸せに深い感謝を!!!。