映画に感謝を捧ぐ! 「3-4x10月」

 映画弁護人GHM(西村哲也)です。  今回は北野武監督・出演の「3-4x10月」に  感謝を捧げようと思います。 ガソリンスタンドで働く男「雅史」の運命を描いた本作は  穏やかな狂気に包まれた作品であります。  暴力的でありながらも淡々と進んでいくストーリー  感情をほとんど表すことなく日々を生きる主人公  ビートたけし北野武)扮する裏主人公の破滅的生き様  日常劇の香りを放つ風景画一体となる光景は  私に「登場人物の内面を想像しながら鑑賞する」時間と  暴力の連鎖・人生の流動性・静かに荒れ狂う野性的衝動の  恐怖を目の当たりにする機会をもたらしました。  (どんでん返しによって「日常」へと帰って行く幕切れが  本作を「心理学的メッセージを持った作品」へと  進化させている点も見逃せません。)  まさに「文学系極道日常劇」と呼びたくなる怪作であると言えるでしょう。  「さんちいよんエックス10がつ」という謎めいた題名  主演男優小野昌彦の寡黙&無表情が生み出すホラー風味  娯楽性を廃した痛みのある暴力描写  サスペンス映画とは異なる形の「先の読め辛い物語」が    不気味な存在感を放つ本作と  生きて映画を見ることの出来る幸せに深い感謝を!!!。