映画に感謝を捧ぐ! 「斬る(1962年版)」
映画弁護人GHM(西村哲也)です。
今回は三隅研次監督の「斬る(1962年版)」に
感謝を捧げようと思います。
柴田連三郎の同名小説をもとにして作られた本作は
華麗にして陰鬱なる時代劇映画であります。
「死神」の如き日々を余儀なくされた主人公の運命を
正統派時代劇の様式美
取捨選択の妙によって躍動感を保ち続ける作劇法
主演男優市川雷蔵の浮世離れした美貌を駆使して描くという試みは
私に「絵画的美しさ・徳川幕府後期を覆う狂気
剣豪の魅力&空しさ」が
絶妙のバランスで共存する光景を
目の当たりにする機会をもたらしました。
(仇討ち映画の定番に背を向けた冷徹なる幕切れが
作品の苦味と文学性を高めている点も見逃せません。)
まさに「残酷時代劇」史上屈指の美しさと非情さに溢れた
作品であると言えるでしょう。
卓越した剣術を持ちながら
呪われた出生と時代に翻弄され続けた剣豪と
彼に関わる人々を襲う悲運を
娯楽的高揚感&情緒に溺れることなく描ききった本作と
生きて映画を見ることのできる幸せに深い感謝を!!!。