映画に感謝を捧ぐ! 「最後の人」

 映画弁護人GHM(西村哲也)です。  今回はF・W・ムルナウ監督の「最後の人」に  感謝を捧げようと思います。  トイレ掃除への転属を命じられた  熟練ドアマンの運命を描いた本作は  映像技と文学性に彩られたサイレント悲劇であります。  運命の悪戯によって崩壊していく「日常」を  怪奇映画的な映像表現と  字幕による状況説明に依存しない「絵画的手法」で描くという試みは  私に「登場人物の内面を想像する」楽しさ  大衆の残酷さ・仕事人間の悲劇  舞台性と映画性の融合を目の当たりにする機会をもたらしました。  (人情味溢れる逆転劇でありながら「ブラック・ユーモア」の香りを感じさせる  不思議な幕切れとなっている点も見逃せません。)  まさに「精神的怪奇系日常劇」の歴史に輝く一作であると言えるでしょう。  白黒映像&サイレントの醍醐味・ホームドラマの味わい  社会派の気配・娯楽的サービス精神が  独特のバランスで共存する本作と  生きて映画を見ることのできる幸せに深い感謝を!!!。