映画に感謝を捧ぐ! 「バクステール ぼくを可愛がってください さもないと何かが起こります」

 映画弁護人GHM(西村哲也)です。  今回はジェローム・ボアヴァン監督の  「バクステール ぼくを可愛がってください さもないと何かが起こります」に  感謝を捧げようと思います。  ブルテリア犬「バクステール」と  彼を取り巻く人々の運命を描いた本作は  P・バーホーベン&L・V・トリアー監督作に通じる  悪意&つかみ所の無さを感じさせる  異色の動物映画であります。  歪んだ欲求によって精神的迷宮に捕らわれた犬「バクステール」  密接に繋がっているように見えて「断絶」した人間関係    暴力的&猟奇的であるにもかかわらず淡々と進んでいくストーリー&映像が    一体となる光景は  私に「コミュニケーション不全」の恐怖と  映画において美化されがちな動物&子供の「秘めたる暗黒面」に  直面する機会をもたらしました。  (平穏さの中に「新たなる惨劇」の気配を感じさせる幕切れが  ホラー映画とは異なる不吉さを醸し出している点も見逃せません。)  まさに「陰鬱系動物映画」屈指の怪作であると言えるでしょう。  情愛の衣を纏った不人情・不条理文学性  恐怖支配への愛に彩られた本作と  生きて映画を見ることの出来る幸せに深い感謝を!!!。