映画に感謝を捧ぐ! 「チャプター27」

 映画弁護人GHM(西村哲也)です。  今回はJ・P・シェファー監督の「チャプター27」に  感謝を捧げようと思います。  ジャック・ジョーンズの著書「誰がジョン・レノンを殺したか」を  もとにして作られた本作は  文学性と妖気に彩られた実話系映画であります。  主人公M・D・チャップマンがNYを訪れてから  J・レノン殺害に至るまでの「3日間」を  不気味なまでに淡々とした映像&音楽  娯楽性を極限まで抑制したキャラクター造形  「心の声」をホラー的に活用する手法を駆使して描くという試みは  私に、作品世界に潜む「メッセージ」を考えながら鑑賞する機会と  愛情と憎悪をつなぐ絆・芸術に対する「解釈」がもたらす恐怖を  ドラマ的盛り上げに背を向け、クールに進行していく「物語」の醍醐味を    目の当たりにする機会をもたらしました。   (鑑賞者を物語に巻き込むかのような「最後の一言」が  人間の好奇心に対する「皮肉」を感じさせる点も見逃せません。)  まさに「空間&精神限定型映画」史上屈指の静けさと  混沌に満ちた一作であると言えるでしょう。  J・レノンの運命・「ライ麦畑でつかまえて」  「ローズマリーの赤ちゃん(映画版)」をつなぐ運命の糸と  冷徹なまでのクールさに溢れた「殺人場面」に  戦慄を禁じ得ない本作と  生きて映画を見ることのできる幸せに深い感謝を!!!。