映画に感謝を捧ぐ! 「アンソニーのハッピー・モーテル」

映画弁護人GHM(西村哲也)です。  今回はウェス・アンダーソン監督の「アンソニーのハッピー・モーテル」に  感謝を捧げようと思います。 大泥棒を目指す男「ディクナン」と  彼の友人「アンソニー」の運命を描いた本作は  喜劇的加工術の醍醐味に溢れた異色の泥棒映画であります。  泥棒映画の定番要素をドタバタ喜劇&青春映画的に  造り替える事によって生を受けたストーリー  緩やかでありながらも軽妙さを保ち続ける演出  L&O・ウイルソン、R・マスグレーヴの放つ「三人漫才風味」が  一体となる光景は  私に「シリアスとコミカルの近似性」を象徴する物語の一形態と  「泥棒稼業のスリル&空しさ」を喜劇的に示す技法を  目の当たりにする機会をもたらしました。  (喜劇的でありながらも「サクセス・ストーリー」の香りを放つ幕切れが  「人生で起きることはすべて学びである」事を示している点も見逃せません。)  まさに悪ノリ的でありながらも下品さをほとんど感じさせない  不思議な「泥棒喜劇」であると言えるでしょう。  軽薄さ・陽気さ・人の良さを兼ね備えた犯罪道中が  「人間は善悪兼ね備えた存在である」ことを写し出す本作と  生きて映画を見ることのできる幸せに深い感謝を!!!。