映画に感謝を捧ぐ! 「息子の部屋」

 映画弁護人GHM(西村哲也)です。  今回はナンニ・モレッティ監督・主演の「息子の部屋」に  感謝を捧げようと思います。  精神分析医ジョバンニと  家族たちの運命を描いた本作は  穏やかにしてクールな家族劇であります。  会話劇でありながら「状況説明台詞」を抑制する。  悲劇的な物語でありながら「悲劇性」を強調しない  主人公の「仕事」とプライベートを段階的に絡ませていく  技巧的な映像表現をほとんど用いないという  文学的且つ挑戦的な作風は  私に「娯楽的な感情表現」を抑える事によって  台詞以上に思いが伝わってくる現象と  技巧的に感動を誘発しない事による  「能動的な感動」の誕生を目の当たりにする機会をもたらしました。  (希望・不安感・自然美が入り交じった幕切れが  「万事解決のハッピー・エンド」とは異なる精神的スケール感と  味わい深さをもたらしている点も見逃せません。)  まさに「陰性ホームドラマ」史上屈指の静けさと  深みに溢れた作品であると言えるでしょう。  淡々と進行する物語の中に  厳しくも暖かい心を宿す本作と  生きて映画を見ることの出来る幸せに深い感謝を!!!。