映画に感謝を捧ぐ! 「股旅」

 映画弁護人GHM(西村哲也)です。  今回は市川崑監督の「股旅」に  感謝を捧げようと思います。  天保の世を旅する  渡世人三人組の運命を描いた本作は  「時代劇の王道」に対する皮肉を感じさせる  時代劇映画であります。  青春映画・極道映画・家族劇を融合させ  短篇集的に進んでいくストーリー  庶民的ムードに覆われた登場人物  様式美ともバイオレンスとも異なる  「喧嘩風味」に溢れた剣劇シーン  祭り的な音楽・歴史教材的な「語り部」が  一体となる光景は  私に「時代劇と現代劇の平和的共存」の形と  素朴な風景&キャラクターが  物語の無情さを鮮明化していく現象を  目の当たりにする機会をもたらしました。  (「友情と義理のせめぎ合い」を  暴力的に写し出した決闘の後に訪れる  「穏やかな残酷さ」に包まれた幕切れが  美しくも苦い後味を生んでいる点も見逃せません。)  まさに「極道+残酷喜劇系時代劇」の  静かなる強豪作であると言えるでしょう。    1970年代特有の「陰鬱さ&反抗性」を放ちながら  TV時代劇「木枯らし紋次郎」に通じる道を開いた本作と  生きて映画を見ることのできる幸せに深い感謝を!!!。