映画に感謝を捧ぐ! 「博奕打ち 総長賭博」

 映画弁護人GHM(西村哲也)です。  今回は山下耕作監督の「博奕打ち 総長賭博」に  感謝を捧げようと思います。 東映鶴田浩二による人気シリーズの一つ「博奕打ちシリーズ」の  4作目となる本作は  「組織の理」を全うしようとすることによって  破滅への道を進む男たちと  仁義を重んじる「組」を  利益追求を目的とする組織へと  「改革」しようとする男との戦いによって  東映を支えた「任侠路線」に対する複雑な思いをえぐり出す  極道映画であります。  任侠路線の図式に沿った演出&キャラクターと  ヤクザ組織が掲げる「任侠道」と  勧善懲悪アクション映画の偽善性をえぐり出したストーリーが  融合することによって生じる「映画的化学反応」は    私に、組織における「理想と現実の乖離」がもたらす悲劇  人情主義と物質主義のせめぎ合い  「殺人は正義たり得ない」という娯楽的に危険なメッセージ  「伝統芸を守りながらも異を唱える」妙技を  目の当たりにする機会をもたらしました。  (主演男優鶴田浩二の悲壮感&敵役金子信雄のコミカルさと  主人公と仲間たちの「思い」を突き放すかのような幕切れが  善悪の二元論を超越した深みと  「ヤクザ」を美化しがちな極道映画に対する警鐘を  感じさせる点も見逃せません。)  まさに「純文学系反極道映画」の雄と呼びたくなる  過激作であると言えるでしょう。  「任侠路線」の様式美に対する反抗精神と  暴力&人情に対する冷徹な目線によって  後年の「仁義なき戦い」等に通じる道を切り開いた本作と  生きて映画を見ることのできる幸せに深い感謝を!!!。