映画に感謝を捧ぐ! 「ハードワイヤー 奪われた記憶」

 映画弁護人GHM(西村哲也)です。  今回はアーニー・バーバラッシュ監督の  「ハードワイヤー 奪われた記憶」に感謝を捧げようと思います。  記憶を失った男「ルーク」と  彼を取り巻く人々の運命を描いた本作は  娯楽技巧とメッセージ性が共存するSF映画であります。  「ゼイリブ」・「トータル・リコール」・「ボーン・アイデンティティ」等の  持ち味をつなぎ合わせながら  情報の洪水によって「人間性」を喪失する恐怖  個人的怨念による長期計画の崩壊  「経済活動」が全てを支配する世界を写し出すという試みは  私に「模倣の積み重ねによって個性を確立されていく」光景と  娯楽的ハッタリと社会風刺の平和的共存を  目の当たりにする機会をもたらしました。  (あえて「万事解決のハッピー・エンド」にしない幕切れが  シリーズ化への思いと1970年代的反抗精神の入り交じった感触を  与えている点も見逃せません。)  まさに「経済活動系モンスター映画」の雄と呼ぶにふさわしい  作品であると言えるでしょう。  肉体とテクノロジーを使い分けながら繰り広げられる闘い  怒りの効能&危険性を見つめる目線  「映画のCM化」に対するブラック・ユーモアが冴え渡る本作と  生きて映画を見ることのできる幸せに深い感謝を!!!。