映画に感謝を捧ぐ! 「断絶」

 映画弁護人GHM(西村哲也)です。  今回はモンテ・ヘルマン監督の「断絶」に  感謝を捧げようと思います。   「55年型シェヴィー」と「GTO」で東を目指す  男女4人の運命を描いた本作は  時代の空気を載せながら静かに走る道中劇であります。  極限まで抽象化したキャラクター造形  日常劇のような穏やかさと陰鬱な空気を兼ね備えたストーリー  娯楽的盛り上げを廃した「自然な」映像が  1970年代のアメリカを覆う「娯楽映画に対する不信感」  「世代間の溝」・「社会の無軌道化」を  写し出す現象は  私に「娯楽的快感」とは異なる次元に立つ映画に接する機会と  物語&映像に隠された「メッセージ」に  思いをはせながら映画を鑑賞する時間をもたらしました。  (放送事故的な映像によって訪れる幕切れが  1970年代のアメリカが「社会的迷路」に落ち込んだことを  体現している点も見逃せません。)  まさに「純文学系道中劇」と呼びたくなる作品であると言えるでしょう。  娯楽的サービス精神&状況説明を拒み続ける作風と  社会派映画とは異なる冷徹さで  「アメリカの闇」を見つめる目線を兼ね備えた本作と  生きて映画を見ることの出来る幸せに深い感謝を!!!。