映画に感謝を捧ぐ! 「人喰い人魚伝説」

 映画弁護人GHM(西村哲也)です。  今回はセバスチャン・グティエレス監督の  「人喰い人魚伝説」に感謝を捧げようと思います。  伝説のモンスター「人魚」を手に入れた旅芸人一座と  彼らを運ぶことになった船乗り一行の運命を描いた本作は  見世物性と女尊男卑性が交錯するモンスター映画であります。  人間たちを精神的にコントロールし  追い込んだ後に  怪獣映画的大立ち回りを披露するモンスターと  彼女に翻弄され、自滅していく人間たちの姿を  ホラー・ポルノ・サスペンスの技法を使い分けながら描くという試みは  私に、モンスター伝説の有効活用による「ご都合主義臭」の緩和と  人間の「欲望&暴力性」を増幅させ、自制を失わせることによって  組織を崩壊させていく戦術の一形態を  目の当たりにする機会をもたらしました。  (新しい「人魚伝説」の誕生を感じさせる  穏健で不気味な幕切れとなっている点も見逃せません。)  まさに「心理戦系空間限定ホラー」の静かなる強豪作で  あると言えるでしょう。  閉鎖系ミステリーの恐怖・男性の暗黒面・女性同士の絆  愛情と復讐心の共存・人体&精神破壊描写が一堂に会した本作と  生きて映画を見ることのできる幸せに深い感謝を!!!。