映画に感謝を捧ぐ! 「真夜中の虹」

 映画弁護人GHM(西村哲也)です。  今回はアキ・カウリスマキ監督の「真夜中の虹」に  感謝を捧げようと思います。 故郷を捨て、南へと旅立った男「カスリネン」の  運命を描いた本作は  対称的な要素が絡み合う異色の人生劇であります。  穏やかに繰り広げられる「トラブルの連打」  悲劇的な状況にあってもクールな主人公  凶悪でありながらものんびりムードの悪漢たち  暴力的でありながらも和やかさを感じさせる  犯罪描写が一体となる光景は  私に「善人が罪深き世界に適合していく過程」の一形態と  ホームドラマと犯罪映画が奇妙なバランスで共存する現象を  目の当たりにする機会をもたらしました。  (背徳的且つ悲劇的でありながらも心和む  不思議な幕切れとなっている点も見逃せません。)  まさに「穏健派犯罪映画」の強豪にして  「陰性人情劇」の雄であると言えるでしょう。  A・カウリスマキ監督作特有の「状況説明&娯楽的盛り上げの抑制」と  庶民的ムード漂う俳優&女優陣・風景によって  凶暴さ&無情さのなかに癒しを宿す作品となった本作と  生きて映画を見ることのできる幸せに深い感謝を!!!。