映画に感謝を捧ぐ! 「388」
映画弁護人GHM(西村哲也)です。
今回はランドール・コール監督の「388」に
感謝を捧げようと思います。
アレッタ通り388番地の一軒家に住む
夫婦の運命を描いた本作は
静かなる残酷趣味と社会派的怪奇恐怖に
彩られた「巻き込まれ映画」であります。
娯楽的スリル&サスペンスよりも主人公の精神崩壊に重きを置いたストーリー
疑似実録的表現法によって「覗き感覚」を保ち続ける映像
ロマンティックな挿入歌を「恐怖を高める要素」として
活用する手法が一体となる光景は
私に「段階的に凶暴化していく&実態がつかめない」事が
恐怖の根源であるという教えと
「ストーカー」感覚で登場人物を見つめる感覚に
接する機会をもたらしました。
(誤解の連鎖によって形成された「決着」と
犯人の実態を曖昧化したまま「次の犯行」を匂わせる幕切れによって
「凶悪犯罪の共犯者」を擬似的に体験する機会を
もたらしている点も見逃せません。)
本作こそ、巻き込まれサスペンスの伝統と
2010年代の映画技法が生んだ
「ストーキング・サスペンス」であると言えるでしょう。
映像テクノロジーの発展が生んだ「匿名型犯罪」を
「裏窓」の流れを汲む手法で描くことによって
怪奇恐怖&怪獣映画とは異なる形の「モンスター映画」となった本作と
生きて映画を見ることのできる幸せに深い感謝を!!!。