映画に感謝を捧ぐ! 「十七人の忍者」
映画弁護人GHM(西村哲也)です。
今回は長谷川安人監督の「十七人の忍者」に
感謝を捧げようと思います。
徳川幕府三代将軍を巡る争いの陰で繰り広げられる
忍者戦を描いた本作は
新時代を築くための「産みの苦しみ」に溢れた
時代劇映画であります。
天下太平の世を築き
「忍者」という非情な組織を解体するため
部下の犠牲を想定した「策」を仕掛ける伊賀忍者首領と
一族の社会的地位を向上させるため
敵方忍者&侍社会に孤独な闘いを挑む根来忍者の運命を
娯楽的爽快感&スター映画的華やかさに背を向けて
冷徹に描いたストーリー&演出によって
東映流勧善懲悪時代劇の殻を破り
善悪の二元論を超越した「戦記」としての時代劇へ向かおうという挑戦は
私に、人類史が抱える「矛盾」の一端と
将棋的スリル&サスペンスに溢れた時代劇の醍醐味を
目の当たりにする機会をもたらしました。
(将軍争いの「当事者」を登場させない大胆さ
武家社会特有の「男尊女卑」を
逆手に取ったトリックが使われている点や
ハッピー・エンドの形態を取りながらも
「虚しさ」に包まれた幕切れが
歴史の舞台裏に生きる人間の宿命を
体現しているという点も見逃せません。)
まさに「戦争系忍者映画」の雄と呼ぶにふさわしい
作品であると言えるでしょう。
心理戦のスリル・歴史の裏側をのぞき見る感覚・活劇的アクション
伝統を守りつつ、変革を成そうとする精神が
せめぎ合いながら力を合わせることによって
「集団抗争時代劇路線」の幕を開けた本作と
生きて映画を見ることのできる幸せに深い感謝を!!!。