映画に感謝を捧ぐ! 「昨日にさようなら」
あけましておめでとうございます。
映画弁護人GHM(西村哲也)です。
2016年初となる今回は
アルヴィン・ラコフ監督の「昨日にさようなら」に
感謝を捧げようと思います。
電車内で出会った人妻と青年の
奇妙な1日を描いた本作は
娯楽戦術的作風に彩られた恋愛劇であります。
ほら吹き&ストーカー的でありながらも繊細さを感じさせる青年と
美しさの中に「苛立ち」を感じさせる女性の交流を
観光旅行映画&青春映画の映像技・ロンドンの風景
美しい挿入曲・上品さとユーモアを兼ね備えた俳優・女優陣を
駆使して描くことによって
倫理的&論理的に無理のある男女関係が
幻想美と現実の苦味を兼ね備えた純愛劇へと変化していく光景は
私に、恋愛映画における「雰囲気作り」の大切さと
純情と狂気の近似性&相違点を目の当たりにする機会をもたらしました。
(能天気なハッピー・エンドに背を向けて
哀愁と希望が入り交じった
味わい深い幕切れと着地している点も
見逃せません。)
まさに「童話系格差恋愛劇」の雄と呼ぶにふさわしい
作品であると言えるでしょう。
アイドル映画的なキャラクター造形
状況説明を極限まで抑制する合理性と
スピード感と品格の均整を保つバランス感覚によって
「1日」のスケール感・日常のドラマ性
倫理と情熱のせめぎ合いを写し出した本作と
生きて映画を見ることの出来る幸せに深い感謝を!!!。
追伸 今年も「西村哲也の弁護系映画論」を
よろしくお願いします。