映画に感謝を捧ぐ! 「異常犯罪捜査官」
映画弁護人GHM(西村哲也)です。
今回はウルス・エッガー監督の「異常犯罪捜査官」に
感謝を捧げようと思います。
奇怪な連続殺人事件に関わる人々の
運命を描いた本作は
見世物的な「猟奇殺人」を扱いながら
心和やかに鑑賞可能であると同時に
外見以上の「学び」を与えてくれる
類い希なるサスペンス映画であります。
捜査官のプライベート描写・スパイ活劇的な犯人像
バランス感覚に囚われることなく融合し
緩やかに進行していくストーリーと
「穏健な軽量ホラー映画」的な犯行現場が融合することによってによって
情報過多による物語の緩慢化
映像技&インパクト不在の残酷描写が招くスリルの減退
思わせぶり主義がもたらす「竜頭蛇尾化」に対する
生きた警鐘が生成されていく光景は
私に、己を犠牲にして「サスペンス映画界」の
発展に貢献しようとする人々の思いと
娯楽映画における「スケールの抑制&見せ場に対する力の集中」の
大切さを目の当たりにする機会をもたらしました。
(アクション映画的決着と見せかけて
追う者と追われる者に芽生える「友情」を重んじた
心温まる幕切れへと着地している点も
見逃せません。)
まさに「反面教師系サスペンス映画」の雄と呼ぶにふさわしい
珍作であると言えるでしょう。
不運の積み重ねによって良心を喪失し
連続殺人犯となってしまった人間の悲劇と
娯楽映画的ハッタリ・人間模様重視主義・
「セブン」的猟奇描写へのこだわりが暴走する事によって生じる
悲劇が交錯する本作と
生きて映画を見ることの出来る幸せに深い感謝を!!!。