映画に感謝を捧ぐ! 「インサイド・マン 原子力潜水艦の標的」

 映画弁護人GHM(西村哲也)です。    今回はトム・クレッグ監督の  「インサイド・マン 原子力潜水艦の標的」に  感謝を捧げようと思います。  ハリー・カルマンの著書「The Fighter」をもとにして作られた本作は  陰性のスリル&サスペンスとブラック・ユーモアの香り漂う  異色のスパイ映画であります。  アクション&国際的陰謀の気配に満ちた幕切れから  素人スパイによる潜入捜査劇へと移行していくストーリー  スパイ映画の定番に即しながらも  娯楽的盛り上げを抑制した演出  胡散臭さに満ちた俳優陣が一体となる光景は  私に「娯楽的ハッタリ」によって鑑賞者の心を引きつける戦術  上層部と現場のコミュニケーション不全がもたらす悲劇  秘密捜査のリスク・諜報活動が日常化した人間の宿命を  目の当たりにする機会をもたらしました。  (ハイテク戦争を皮肉ったかのような「真相」と  ハッピー・エンドの形態を取りながらも  苦味と不吉さを感じさせる幕切れとなっている点も見逃せません。)  まさに「青春映画入りスパイ映画」と呼びたくなる一作であると言えるでしょう。  日常劇の如く進行する秘密任務と  穏やかにして複雑怪奇な人間模様が  スパイ活劇とは一味違う恐怖と哀愁を放つ本作と  生きて映画を見ることの出来る幸せに深い感謝を!!!。