映画に感謝を捧ぐ! 「明治侠客伝 三代目襲名」

映画弁護人GHM(西村哲也)です。  今回は加藤泰監督の「明治侠客伝 三代目襲名」に  感謝を捧げようと思います。 明治中期の大阪で繰り広げられる  建築業者間の抗争を描いた本作は  演歌の香りと娯楽活劇の醍醐味がせめぎ合う極道映画であります。  江戸時代的任侠組織から  近代的企業組織への「改革」を進めるため  自らを犠牲にする男と  企業組織の仮面を被った「暴力組織」との闘いを    絵画的魅力に溢れた映像  明治中期の社会情勢と  「大阪」の気風を生かしたキャラクター造形  時代劇と西洋映画の手法を兼ね備えたアクション  MTV的に繰り出される挿入曲を融合させながら描くという試みは  私に、極道映画における「地域性&時代性を生かすこと」の大切さと  情と暴力がせめぎ合う世界に生きる人々の思いに  触れる機会をもたらしました。  (悲劇的でありながらも「新時代への希望」を  感じさせる幕切れが  勝てば官軍的ハッピー・エンドとは異なる  倫理観を感じさせる点も見逃せません。)  まさに「社会派極道活劇」の静かなる強豪作であると言えるでしょう。  任侠精神と近代化の壮絶なるせめぎ合いを  東映的サービス精神+様式美&関西文化の  限りを尽くして描いた本作と  生きて映画を見ることのできる幸せに深い感謝を!!!。