映画に感謝を捧ぐ! 「帰らざる夜明け」

 映画弁護人GHM(西村哲也)です。  今回はピエール=グラニエ・ドフェール監督の  「帰らざる夜明け」に感謝を捧げようと思います。 ジョルジュ・シムノンの小説「クーデルク未亡人」をもとにして  1971年に作られた本作は  娯楽加工術の妙を堪能させてくれる恋愛映画であります。  恋愛映画の王道に犯罪映画・ホームドラマを  組み合わせたストーリー  穏やかな風景描写・上品な音楽を融合させることによって  陰鬱&危険な人間模様が  和やかな雰囲気を持った作品へと変死していく光景は  私に「自然美&スケール感の抑制」の効能と  階級社会のストレスがもたらす悲劇を  娯楽的に表現する手法の一端を  目の当たりにする機会をもたらしました。  (台詞による状況説明を避ける事によって  「鑑賞者に考えさせる」作品となっている点と  アクション映画の技法と恋愛映画の情緒が  バランス良く配合された幕切れとなっている点も見逃せません。)  まさに「格差系恋愛悲劇」の一翼を担う  強豪作であると言えるでしょう。  フランス人俳優&女優陣ならではの上品さ&生活感と  感動誘発&娯楽的盛り上げを抑制したクールな演出によって  方程式&下世話的なストーリーを光り輝かせる本作と  生きて映画を見ることのできる幸せに深い感謝を!!!。