映画に感謝を捧ぐ! 「死霊高校」

 映画弁護人GHM(西村哲也)です。  今回はトラビス・クラフ&クリス・ロフィング監督の「死霊高校」に  感謝を捧げようと思います。   学園祭前夜の学校に侵入した男女4人の  運命を描いた本作は  ホラー映画の伝統・2010年代の娯楽映画文化  サスペンス&ホラー映画を支配する「呪縛」が  入り交じった疑似実録映画であります。  「不快さ」を追求したキャラクター造形によって  死の悲劇性&他者の不幸を楽しむ事への罪悪感を  緩和する手法  不安定化した映像表現による「素人撮影ムード」の生成  アトラクション的特殊効果を抑制する節約精神  謎をばらまき続ける事によって鑑賞者を引きつける  作劇法が一体となる光景は  私に「趣味と実益の平和的共存」の形  「トラブル」を宣伝の一種と考えてしまう本能  アーティストが抱える狂気・逆恨みの法則について  思いをはせる機会をもたらしました。  (本編内の謎をほとんど解明することなく訪れる幕切れが  「サスペンス&ホラーの醍醐味は過程にある」  「謎の解明」が鑑賞者を失望させやすい存在である事を  体現している点も見逃せません。)  まさに「ホームビデオ系ホラー映画」史上屈指の  珍作であると言えるでしょう。  1990~2000年代特有の「自分本位&自己顕示欲の暴走」に  「時代の潮流に従う」娯楽精神に覆われた本作と  生きて映画を見ることの出来る幸せに深い感謝を!!!。