映画に感謝を捧ぐ! 「吸血鬼ドラキュラ」

 映画弁護人GHM(西村哲也)です。  今回はテレンス・フィッシャー監督の「吸血鬼ドラキュラ」に  感謝を捧げようと思います。 ブラム・ストーカーの同名小説をもとにして  1957年に作られた本作は  伝統芸能の香り漂うモンスター映画であります。    舞台的見せ方・適性範囲の説明台詞  抑制された残酷描写・紳士淑女感漂う俳優・女優陣によって  「弱点多きモンスターと見世物的ストーリーの組み合わせ」が  文芸的ムード+怪奇恐怖に溢れた物語へと進化していく光景は  私に怪奇映画における「神秘性・雰囲気作り・哀愁」の重要性を再認識しつつ  舞台性と映画性の平和的共存の形を  目の当たりにする機会をもたらしました。  (ドラキュラに扮したC・リーのクールな怪演と  後年の「フライトナイト」に影響を与えた  決着の付け方も見逃せません。)  まさに「イギリス流吸血鬼歌舞伎」と呼びたくなる一作であると    言えるでしょう。  不気味さ・詩情・ユーモアが絶妙のバランスで配合されることによって  昨今のホラー映画とは一味違う「静かなる怪奇恐怖」を放つ  吸血鬼映画となった本作と  生きて映画を見ることのできる幸せに深い感謝を!!!。