映画に感謝を捧ぐ! 「罪と罰 白夜のラスコーリニコフ」
映画弁護人GHM(西村哲也)です。
今回はアキ・カウリスマキ監督の「罪と罰 白夜のラスコーリニコフ」に
感謝を捧げようと思います。
フョードル・ドストエフスキーの小説「罪と罰」を
もとにして1983年に作られた本作は
穏健な狂気に彩られた異色の犯罪映画であります。
サスペンス映画系のストーリーを
人情劇の手法で表現する実験精神
会話主体のストーリー展開であるにもかかわらず
「鑑賞者に想像させる」事を可能にするバランス感覚
庶民的ムード溢れる俳優・女優陣が一堂に会する光景は
私に「犯罪者心理と罪悪感の間を彷徨う」人間の思いと
「娯楽的スリル&サスペンス」とは異なるミステリアスさに
触れる機会をもたらしました。
(どんでん返しにも勧善懲悪にも属さない静かな幕切れが
絶望と希望の入り交じった気配を放っている点も見逃せません。)
まさに「純文学系犯罪映画」の静かなる強豪作であると言えるでしょう。
後年のA・カウリスマキ監督作に比べて饒舌&感情的でありつつも
「視覚的インパクト&盛り上げ」を抑制し、日常的ムードを保ち続ける姿に
驚かされる本作と
生きて映画を見ることのできる幸せに深い感謝を!!!。