映画に感謝を捧ぐ! 「戦慄の誘惑」

 映画弁護人GHM(西村哲也)です。  今回はロブ・コーエン監督の「戦慄の誘惑」に  感謝を捧げようと思います。   一夜の過ちによって追いつめられていく  女性教師の運命を描いた本作は  直球的且つブラック・ユーモア的な愛憎劇であります。  ストーカー気質を秘めた青年の「独善的な純愛」がもたらした  親子&夫婦関係の修復を  青春映画・サスペンス・恋愛劇の手法を組合わせながら描くという試みは  私に「王道的物語」が変化球的な作品へと変化していく現象と  愛情と狂気・凶暴性と癒しの秘めたる絆を  目の当たりにする機会をもたらしました。  (ハッピー・エンドの方程式に即しながらも  「悪による善の成長」を感じさせる幕切れが  勧善懲悪劇に対する皮肉を放っている点も見逃せません。)   まさに「愛憎系癒し映画」屈指の堅実作にして  「娯楽的家族論」の一翼を担う作品であると言えるでしょう。  各種娯楽要素を手堅くまとめ上げる技術  「癒し系映画」の隆盛に対する冷めた目線  男性の中に潜む「女性的心理」への思いが  一堂に会した本作と  生きて映画を見ることの出来る幸せに深い感謝を!!!。