映画に感謝を捧ぐ! 「キングの報酬」
映画弁護人GHM(西村哲也)です。
今回はシドニー・ルメット監督の「キングの報酬」に
感謝を捧げようと思います。
選挙アドバイザー「ピート・セント・ジョン」と
彼を取り巻く人々の運命を描いた本作は
1970年代と80年代の間に立つ政治劇であります。
「依頼人の当選」のみを目的とする人々の日常劇から
陰謀劇→良心の回復を描いた人情劇へと進むストーリーを
娯楽的スリル・ユーモア・スピード感の均整を保ちながら
描こうという試みは
私に「選挙戦の舞台裏」・「民主主義の危険要素」
「1970年的反抗心と1980年的陽気さのせめぎ合い」を
娯楽的に表現する手法の一形態に
接する機会をもたらしました。
(世俗的勝利に固執しない「決着の付け方」が
能天気なハッピー・エンドとは異なる
味わい深さを感じさせる点も見逃せません。)
まさに「ジャンル融合型政治劇」の歴史に輝く
一作であると言えるでしょう。
陰謀渦巻く選挙戦の中で人情と不人情・戦術と良心
社会派的メッセージと娯楽的サービス精神が
ぶつかり合うことによって生じる映画的化学反応が
政治のゲーム&ビジネス化現象
S・ルメット監督流と1980年代映画事情の対立
人気商売の宿命を写し出す本作と
生きて映画を見ることのできる幸せに深い感謝を!!!。