映画に感謝を捧ぐ! 「砂丘」

 映画弁護人GHM(西村哲也)です。  今回はミケランジェロ・アントニオーニ監督の  「砂丘」に感謝を捧げようと思います。 小型飛行機を盗み、旅に出た青年と  車で放浪する女性の運命を描いた本作は  穏やかなる反抗精神に溢れた青春映画であります。  格差恋愛劇の王道  1960~70年代のアメリカを形成する要素  状況説明の抑制・MTV&アイドル映画的表現法  イメージ映像の多用・段階的にスケール感を縮小していく手法が  一体となる光景は  私に、ヨーロッパ的感覚で見つめるアメリカ社会  純文学性と1970年代的反抗精神の融合  台詞よりも映像&音楽で語る物語の醍醐味を  目の当たりにする機会をもたらしました。  (娯楽映画特有の「明瞭なる決着」に与さない  抽象的な幕切れが  無情さとある種の爽快感を感じさせる点も見逃せません。)  まさに「破滅系青春映画界」の静かなる強豪と呼ぶにふさわしい  作品であると言えるでしょう。  体制にも反体制にも入れない男女の思いと  1970年代の熱気&荒廃を静かに写し出す本作と  生きて映画を見ることのできる幸せに深い感謝を!!!。